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<セツブンソウ>
キンポウゲ科のセツブンソウ(Shibateranthis)属は、中央アジア、シベリア、中国、朝鮮半島、日本に7種が分布する植物で、早春の短い期間に一斉に開花する姿はとても可憐です。地下には球状の塊茎があり、頂部より少数の根出葉と花茎を束生します。花茎は単一で、無柄の茎葉を輪生し、1個の花を頂生し、花はやや上向きに開きます。花弁に見えるものは実は萼片で、1花に5−8枚くらい付け、個体によってかなりばらつきがあります(写真の右端の花や左下の花は萼片が多い個体です。)。花弁は小さくて橙黄色で蜜を分泌します。双子葉植物なのに、なぜか子葉は1枚です。セツブンソウは、本州の栃木県以西の主として石灰岩地域の落葉広葉樹の林下や林縁に見られ、早春に群生して開花する姿は見ごたえがあることから、観光地化されているところもあります。年が明けて最初に植物観察をする対象植物とされている人も多いと思います。私も、セツブンソウの群生地を訪れると、何とも言えない幸福感を得ます。なお、ヨーロッパにも似た種が分布しますが、こちらは別属 (Eranthis属) とされています。 |