<ミズバショウ>
     サトイモ科のミズバショウ属は、日本にはミズバショウ1種のみが自生しており、世界には本種と北アメリカに分布している仏縁苞が黄色いアメリカミズバショウの2種が知られています。大型の葉を展開する多年草で、花は肉穂花序で、雪解け直後に大柄な仏炎苞を開きます。肉穂花序には先端に付属体はなく、小花は両性花で、四枚の花被片に包まれます。多くの点でザゼンソウ属に似ていますが、子房が二室であること、仏炎苞の基部が筒状に長いことなどの違いがあります。
     ミズバショウの和名は、湿地に生え、葉が大きくバショウの葉に似ていることに由来するとされ、江戸時代の文献にも出てくるそうです。北海道などでは牛の舌(ベコノシタ)などと呼ばれています。
     ミズバショウといえば、「夏の思い出」の歌詞で紹介された尾瀬が最も有名ですが、北海道や中部以北の湿地に広く分布していますので、比較的目にする機会があると思います。よく目立つ有名な植物なのですが、ヨーロッパには分布していないので、ミズバショウにまつわる神話は見かけません。