<ナルキッソス>
     スイセンは、本州から九州にかけて海岸沿いに自生していますが、真の自生でなく、地中海〜アジア中部・中国にかけて自生するものが、古く(おそらく平安時代)に渡来して野生状態になったとされます。鱗茎にはアルカロイドのリコリンという毒素が含まれており、ネズミが食べないために、大群落を作ります。本州では、雪解け後の春に咲きますが、根雪にならない九州西部では、12月上旬には咲き出します。
     スイセンは、ナルキスス(ナルキッソス)属ですが、ナルキッソスは、ギリシャ神話に登場する美少年で、水面に映った自分の姿に一目惚れして、その場を離れることができなくなり、やせ細って死んだとされ、そのあとにスイセンが咲いたことは有名な話です。英語のナルシズムの語源にもなっています。また、森の妖精のエコーはナルキッソスに恋をしましたが、エコーは他人の言葉をくり返すことのみ許されていたため、ナルキッソスはエコーを見捨て、エコーは悲しみのあまり姿を失い、声だけが残ったとされます。英語のecho(こだま)の語源となっています。