<スナビキソウ>
     ムラサキ科のスナビキソウ(Messerschmidia)属は、海岸に生える植物で世界に3種、日本にはスナビキソウの1種が知られています。花序は頂生で、密に集散状に分岐して横に広がります。花冠は5裂し、雄しべや雌しべは花筒内にあるため、外からは見えません。
     写真のスナビキソウは、北海道から九州にかけての海岸砂地に生える多年草で、茎は高さ30cm程度、葉は互生し、へら形で厚く、両面に圧毛が生えています。遠くに移動することで有名な蝶のアサギマダラは、この花が大好きなようで、群がって蜜を吸っていることが多いようです。果実はコルク質の石果で、海水に浮いて散布されます。
     初夏の海岸を歩いてこの花を見つけると、何とも言えない清楚な花の虜になり、夢中になって写真を撮ってしまいます。アサギマダラが夢中になる気持ちがわかるような気がします。