<カトレア>
ラン科のカトレア(Cattleya)属は、中央アメリカ〜南アメリカに分布する植物で、魅力的な美しい花と、高貴な香りに魅了され、ランの女王と呼ばれています。原種は、世界には約50種が知られていますが、主としてヨーロッパで他属との属間交配がくり返され、多くの園芸品種が作出されています。おそらく数万の品種が育成されたと思われます。カトレアの属名は、イギリス人の William Cattley がブラジルから送られた植物を栽培して開花させ、ランであることがわかり、植物分類学者 John Lindleyが彼の名(Cattley)を記念して、カトレヤ属ラビアタ(Catlleya labiata) と命名したことが起源とされます。 カトレア類の草型は独特で、バルブと呼ばれる茎が伸びて先端に1〜数枚の肉厚の葉をつけます。バルブの先端にはシースという莢の中に花芽ができ、多くは秋〜冬に開花します。写真はトリアナエという種で、コロンビア人の植物学者 Jose Jeronimo Triana(1834〜1890)の名に由来するそうで、コロンビアの国花にもなっています。 カトレア類を含む洋蘭は一般的には低温に弱いとされますが、カトレア類は比較的低温に強い部類で、乾燥気味に育てれば、最低5℃もあれば越冬可能です。関東南部以西では、温室がなくても室内で十分栽培が可能です。私もこの花が大好きで、以前は数10鉢を栽培していました。最近は、冬になれば各地で洋蘭展が開催され、成長点培養による大量増殖法の確立により、珍しい品種もリーズナブルな価格で購入することも可能となったことは非常にうれしいことです。反面、原種は山捕品も多くあるようで、現地が荒らされていることを思えば、心が痛みます。 ラン科は植物の中でも最も進化した植物の一群とされますが、この美しい植物が現地でいつまでも生き残って欲しいと願っています。 |