<コショウノキ>
     ジンチョウゲ科のジンチョウゲ(ダフネ)属は、日本にはオニシバリ、コショウノキなど数種が知られており、世界にはユーラシアと北アフリカに約90種が知られています。落葉又は常緑の低木で、葉は草質ないし革質で全縁、花序は頭状又は短い穂状、花は両性又は雌雄異株で、4又は5数性です。
     コショウノキは、関東以南の暖地に生じる高さ1m程度の常緑小低木で、早春の1−4月に頭状花序を付けます。花はジンチョウゲに似て香りもよく、山中で出会うと思わず鼻を近づけてしまいます。コショウノキの名前は、初夏に熟す橙赤色の液果をかむと非常に辛いことに由来します。
     属名のdaphne(ダフネ)は、太陽神アポロンが大蛇を退治した時に、出会ったキューピットをからかったところ、キューピットは恋をする矢をアポロンに、もう一つの人をうとましく思う矢を森の妖精ダフネに当てました。アポロンはダフネに恋をしてしまい、ダフネがアポロンから逃げまどう中、ふびんに思ったゼウスがダフネの姿をジンチョウゲに変えた、という伝説があります。