<ラナンキュラス>
     キンポウゲ科のラナンキュラス(キンポウゲ)属は、日本には20数種がみられ、世界では亜熱帯から寒帯にかけて約400種が知られています。
     属名のラナンキュラスは、「小さなカエル」という意味で、カエルに似ていることからではなく、カエルが住むような湿った環境に生えることに由来します。また、花弁は黄金色で光沢があることから、英名はバターカップといわれます。
     ギリシャ神話では、ラナンキュラスは背が低い醜い男とされ、美青年のピグマリオンと仲が良く親友関係にありました。ある日、2人は道に迷って山陰の小さな家に宿を乞いましたが、そこには美しい娘コリンヌがいて、温かいもてなしを受けました。2人は同時に恋心を抱きましたが、コリンヌは美青年のピグマリオンを慕い、やがて2人は結婚しました。ラナンキュラスは、恋の痛手を胸に秘めたままシシリー島に身をひき、そこではかない一生を終えます。彼の身を案じたピグマリオンが彼の墓を探し当てたところ、そこには1本の小さな金色の花が咲いていました。それがラナンキュラスとされます。
     園芸植物のラナンキュラスは大きな八重咲きの花ですが、欧州でも自生のものは写真のウマノアシガタのように小さな一重咲きだそうです。