<フリチラリア>
     バイモの仲間は、日本では数種類あり、クロユリ、バイモ、コバイモ類などがあります。中でもコバイモ類は早春に咲く小さな植物で、春の一時期のみ姿をあらわし、その後は地上部は枯れて地下で生活しています。
     バイモ類の属名はフリチラリアですが、ギリシャ神話では、次のような物語があります。
     「ヨシで編んだ籠を売り歩く孤児の少年フリチエールが、金持ちの召使いとなり、ニワトリの世話をする仕事をしていたところ、突然嵐が襲い、ニワトリが逃げてしまいました。フリチエールは雨に濡れながら探し回りましたが、これがもとで高熱を出して死んでしまいました。神々は彼を哀れんでフリチラリア(バイモ)の花に変えました。」
     バイモに編目模様があるのは、少年が好んで編んだヨシの籠の名残とされます。写真のホソバナコバイモの花には、残念ながら網目模様はありません。